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深夜2時。現場に着くとバリケードテープが二重に貼られていた。
想像よりも汚染された範囲が広い。魔物は王都内部にも侵入し、禍々しい血で塗られた民家も複数ある。
近付いて見るとほとんどが有翼種。
かつてより王都は上空からの攻めに弱いとの指摘があったけど、未だ改善の余地はありそうだ。
それでも第二居住区の被害が皆無。そこは素直に感謝せざるを得ない。
テープの外で暇してそうな警部部隊を見つけ声を掛けた。
「お疲れ様です。清掃部隊第3班班長ヤマト・アズルです。状況はどうなってます?」
面倒くさそうに振り向くも白の防護服と身分証を見せると待ってましたと顔に出た。
「やっと班長が来てくれたか!見ての通りだいぶ魔物に入られてね。獣型だから血の臭いがたまったもんじゃないよ」
そう言って顔をしかめるけど、実際そこまで酷くもないような。俺も頭部プロテクターは被ってないし、ある種職業病なのかもしれない。
周囲を見渡せば消火活動も終盤に差し掛かり、近辺を見回る警部部隊や騎兵部隊も手薄になっていた。
「騎士団や騎兵部隊がいないようですが、最初からこれだけ?」
「いやいや、大型の魔物が森まで引き返したから大部分はそれを追ってるんだ」
遥か遠くに見える南東の森にはランプの灯りがちらほら見えた。
げっ、無駄に深追いするなよな。余計な死体が出ると残業になっちまう。
今日は長くなりそうだと諸々諦め、
「では作業に取り掛かります」
「あぁ、朝までには綺麗になるよう頼むよ」
無茶言うな。どう見計っても明日の午後にはなる。
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