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バリケードテープをくぐり、白の防護服を着込んだ集団に近寄る。
それにしても深夜とは言え集まりが悪いな……。
どうにか言葉を飲み込んで咳払いを挟み、
「えー、夜遅くご苦労様です。3班はこっちに集合を」
ぞろぞろと7人が集まる。顔ぶれを見たところ全員が第一層居住区の住民だ。家が近いと出勤が早くて助かる。
因みにここにいる全員がバイトだった。
清掃部隊は王宮特務隊の中でも重要度が軽視され正規に王都に雇用されているのは班長と副班長くらい。
人件費の削減および今夜のような急な呼び出し、作業内容から離職率が高く非正規雇用が大半を占めている。
その中から比較的職務暦の長い茶髪の若者を指名した。
「『ラッシュ』。とりあえず全員を率いて清掃を始めてくれ。死体には触らなくていいから洗浄液で済ませられる箇所を優先的に。不明な点が生じたら随時報告を」
「了解っす」
ラッシュは3つ下の19歳。16歳からバイトを続けているから仕事に関しては手慣れている。
こうして先頭にに立って動いてくれるから非常に頼れる存在だ。絶対に辞めてほしくない。
「あの、俺達は?」
3班以外の面々が指示がなく途方に暮れていた。
2班は今日は非番。他の連中は何してんだよ……。
「とりあえず、洗浄液での簡易清掃優先で進める方向で。各班長及び副班長が来たら作業を中断し、再度指示を仰いで下さい」
「了解しました」
作業に向かう背中を見送っていると、背後から大声が飛んで来た。
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