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「ガッハッハ!もはや隊長いらずだな!後任が決まって俺も嬉しいぞ!」
大声で笑うのは無線でも話した『バルコス・グルド』隊長。
筋骨隆々の大男で頬には傷。どう見ても歴戦の戦士で清掃部隊の隊長とは思えない。ついでに防護服も着ていない。作業する気あんのか。
「隊長、まじでヤマト班長だけで回せるんで立場危ういっすよ。洒落になってないっす」
その隣に立つのは『カムラ・ラック』第3班副班長。
覇気の欠ける声にどこか無気力な目。灰色の髪の毛が特徴的で20歳にしては若く見える。
「え?俺いらないの?もう引き取り手ないんだけど」
隊長は無職への道に怯えていた。
「今は隊長になるつもりないんで安心して下さい。それとカムラ副班長は中々の重役出勤だな」
カムラに対しては嫌味っぽく言ってやると反論の声を上げた。
「えー、だって俺一層居住区でも上の方だし。他の班長方より早く来たじゃないですか」
「俺は二層住みでお前より遠くから来てるけどな」
「うわっ、出たよ居住区マウント。これだから高級取りは」
「こら、話をずらすな」
やいやい冗談の応酬をするのはいつものことだ。
カムラは初めて俺の下に就いた頃から一貫して態度が変わっていない。掴みどころが無いやつだけど、一応尊敬はしてくれていると思う。
まぁ、部下であり弟みたいなやつだ。
作業に入る前につい先日聞いた話を思い出した。
「そういえば、今度うちの班に正規雇用が入るって聞いたんですが」
今は王都が正規に雇い王宮特務隊のいずれかに振り分けされる時期だ。俺としては骨太が来るのを期待しているので早く顔合わせがしたかった。
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