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「あぁ、そうだった。今日はお前に紹介したいやつがいるんだった。おい!こっち来いや!」
ガサツな呼び声に反応し、後ろに控えていた防護服姿が近付いて来る。
遠くにいたから小さかった人影は目の前に来ても小さかった。なんだか遠近感がおかしくなった気分になる。
頭部プロテクターを外すと案の定それは女の子だった。
茶髪の肩を越すセミロングに包まれた小さな童顔。大きな瞳と揃えられた前髪がより幼さを演出していた。
「初めまして!今日から第3班に配属されました『サラ・ナナリア』です!よろしくお願いしますヤマト班長!」
最後にとびっきりの笑顔を添える。
これまたとんでもなく元気な子が来たな。清掃部隊は基本控えめな人種が多いから、間違って来ちゃった感が凄い。
顔に出ないよう表情を引き締め、威厳のある態度を取る。
「第3班班長のヤマト・アズルだ。よろしくなサラ隊員。歓迎するよ」
はい!と気持ちのいい返事に頷きを返して、隊長を見る。
「今日はこの子だけで、正規雇用はまだなんですね」
少し残念そうに言うと、3人は俺を見る目が変わった。
それぞれが何言ってんだこいつとでも言いたげに。
「いや、だからこの子ですよ。サラ隊員がうちの正規雇用です」
控えめにサラを指差してカムラが言う。
こいつ、いつの間に小粋なジョークなんて覚えやがったんだ。
「あのな、正規雇用は18歳からだぞ?忘れたのか?」
すると、サラはむっとした表情になり、
「あの、一応条件は満たしていますが」
「え?15とかそこらじゃないの?」
「し、失礼な!これでも歴とした18歳です!人を見た目で判断しないで下さい!」
見た目で判断するなと言われてもそれ以外に情報が無いし、身分証見せられても納得する自信無いんだけど。
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