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「まだまだ観察眼が甘いな。この子は外部受験にも関わらず上位の成績で雇用された優良株だぞ?」
隊長の手が肩に置かれ、サラはふふんと得意げに胸を反らす。
王宮特務隊に採用されるには直属の王宮訓練校から上がっていくのが一般的だ。
他所の学校が劣っているとまでは言わないけど、大陸一栄えているだけあって王宮訓練校には優秀な人材が集まりやすい。
それに王宮勤めのお偉いさんや特務隊の役職持ちが講師を務めるため必然的にパイプは出来上がる。それらを差し置いて上位を取るあたり彼女の優秀さが伺えた。
話を聞いて、とある疑問が脳裏を過ぎる。
「それだけ出来るならどうして清掃部隊に?」
あまり言いたくない話ではあるけど、他所の部隊でついて行けなくなった非正規雇用者がうちに回される例は多い。
ついでに正規雇用組も訳ありばかり。まともそうなサラがストレートに清掃部隊に配属されたのが謎だった。
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれました。実は私、自分からここを志願したのです」
胸に手を当て、仰々しく振る舞う。この子ちょっとうざいな……。
サラはキラキラと目を輝かせ、
「なぜって掃除が好きだから!終わった後の達成感!開始前とは見違える光の粒子さえ舞う光景!それに人のためにもなる!最高の職場ですよね!」
闇が深みを増すこの場において、サラだけが光を放っていた。
全言撤回。やっぱりまともじゃあなさそうだ。
「あー、うん。そうだな!」
とりあえず、乗っかっておいた。
光の粒子の件はよく分からなかったけど、熱意だけは伝わった。直に清掃部隊を選択したあたり見込みもありそうだ。
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