反逆

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反逆 武器を持ち、戦う。 この行為は生半可な気持ちで務まるものでは無い。 俺には帰りを待つ人がいる、その人を守る為に、俺は戦う。 その気持ちを忘れることなく戦っていた俺は気付けば数々の城を落とし、武勲を挙げ、騎士団長となっていた。 そんな俺に軍がくれた2年ぶりの長期休暇、俺はあの人が待つあの故郷へ帰ろうと思い、馬を手配してもらった。 しばらく馬に揺られ、感慨に耽けながら道を進んでいると異変に気づく。村の方から煙が昇っている。 俺は馬を走らせ帰路を急ぐ。 想像通りだった。炎は家にとどまらず、周囲の草木をも燃焼させ、村の半分以上が焼け野原と化していた。 俺はあの人の名を叫んだが、帰ってくるのは俺の声だけだった。 それでも俺は探した、見つかったのはあの人の遺体、ただそれだけだった。 他の人は皆逃げることが出来たらしい。今思えば、涙を流した自分に嫌気がさす。 あの人を埋めてから、村を後にし村民の生き残りと合流をした。行く宛てもなく、彷徨っていたそうだ。正直言って、また会えたのは奇跡だろう。 近くの城まで送り届けたので、もう一度俺の妻の居る故郷へと足を向けた。 別れを伝えたかった。 この気持ち、どこへやればいいのだろうか? 俺の妻が逃げ遅れたのには理由があった 「腹に子がいた」 城に着いた時、村長から聞いた。相手は我が軍の第2王子らしい。虚しさが追い打ちをかけるかの如く深々と心を抉る。 自分が戦っていたのは、なんの為だったのか 頭の中はいっぱいだった 自分の妻と王子の家族の為にこの命を危険に晒してきたのだ。 全てが壊れた 音を立てて…。 国に反旗を翻した、当然部下の大多数はついては来なかったがゼロではない。俺を慕ってくれていた数名は運命共同体として着いてきてくれたのだ。 自分の作戦で手に入れた城を再び手中に収め、仲間だった人々も容赦なく殺した、手段は問わなかった。気がつけば俺は、修羅と化していた。 だが、国としても放って置くわけはなく、弾圧は情報が入って間もなく行われた。 当然ながら負けた。 俺たちは弾圧が開始されてから、わずか半日で敗北を実感した。 勝ち目がないことなんて分かりきっていた。 慕ってくれていた仲間も皆殺された。 だが俺は死んではいない、死ぬまで諦めてなるものかと、もう一度武器を手に戦った。 目標は俺の妻を奪った第2王子だった。見事侵入に成功し、ヤツの首元を掻っ切るのには十分な距離まで近づいた時、ふと思った。 本当に、この王子のせいなのか?と。 妻もその気だったのではないかとまで思った。 その可能性は信じたくなかった。 だが、否めなかった。 迷っている内に第2王子は目を覚まし、兵を呼んだ。反応が間に合わず、囚われの身となった後、斬首刑が言い渡された。 そして今、これから執行される。 そこで俺は思い出した。 彼女は 俺の送った指輪をつけたままだったな 最後の景色は第2王子の笑みだった。
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