初稿・七飯 由仁 十六歳。人生初の足ドンにより大ピンチ。

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 ▲ △ ▲ △ ▲ 混沌の世界は希望を欲するも、偉大なる英雄は、とうに黄泉の住人と成り果てて久しかった。 そんな時代に辺境と呼ばれる地に住んでいた少年は、ひょんなことから、顔も知らぬ父親が失われし英雄だと知らされる。 持ち前の好奇心と正義感で賢人が求める後継者として応じた少年は、同行者として紹介された元軍人の傭兵と共に旅立つことにした。 見るものすべてが目新しい旅先で出会うのは、世慣れぬ巫女や鳥人属の情報屋。 しかし、少年の無垢な冒険心を他所に、道のりは前途洋々とはいかず、どこか不穏な影がつきまとう。 真っ向勝負のダークファンタジー『唄うドラゴン』、ここに参上。 作・千歳(ちとせ) 神威(かむい) 絵・らっこ 「――の作者こと、枝幸 厚真?」 「……です」 ずずずーっとシェイクを啜りながら、恥ずかしげに肯定してくれたのは足ドンヤンキー君。 なんとびっくり、文学少年だったらしい。 「はあー。見た目じゃ、わかんないもんだね」 素直な由仁は、本人を前にして遠慮なく本音を口にした。 「見た目は関係ないだろ。つーか、ヤンキーでもねえし。どっちかってーと、肉体に訴えるよりも精神攻撃の方が得意」 「それって、逆に質悪くない? てか、悪いとは言ってないし。普通に、すごいなって思っただけで。だって、作家先生なわけでしょ」 「言っとくけど、エブリスタって、どんな素人でも勢いと心意気で投稿できる親切サイトだからな」 きちんと確認しろとか言われても、希望の情報をゲットした由仁は、枝幸の機嫌なんてどうでもよかった。
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