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１.「無理」と言ってみた

よっこらせ、と上体を起こし、駿介はほこりをかぶった通学かばんを取り出した。軽くほこりを落とし、ゆっくりとチャックを開ける。ジッパーが開く振動が手に伝わる。そんな感覚が久しぶりで新鮮だった。

中を覗くと入っているのは新品の1年生の教科書やワーク、ノートだった。駿介はがっかりしてしまった。

そういえば最後に学校に行ったのっていつだっけ…？

かばんに手を突っ込み、適当に一冊取り出した。
出てきたのは「数学基本マスター1」。ガチャでいえば、まあBランクといったところだろう。
帯に目をやると、印刷された鮮やかな黄色の熊が目に飛び込んだ。「定期テスト満点宣言！」そう豪語する熊に苦笑いした。ごめん熊。定期テストなんて今まで受けなかったんだわ、俺。熊は恨めしそうな顔でこちらを見ていた。