「天才のあなた」、今なら月額500円！

１.「無理」と言ってみた

「ああ、もう、無理！！！」
ただ、ここはいっそ、人に頼ることも大切だと、駿介は一番それをよく知っていた。といっても、彼が頼れる人はそばにはいなかった。ただしインターネットを除いて。駿介はスマートフォンを取り出し、某動画投稿サイトを素早く開いた。そして素早く検索バーをタップし「文字式　中一　授業」とぎこちなく打ち込んだ。ゲーム以外のこと調べるの初めてだわーなんて思いながら。

しばらく無心でよさげな動画をあさっていたところ、駿介の目に一本の動画が止まった。
「現役中学教師の授業チャンネル　文字式編」　再生回数17万回　👍3728
これは、見てみる価値がありそうだ。
ぐるぐるが少し表示され、動画広告が始まった。二本連続、スキップ不可の最低の広告だった。駿介はため息をついた。
「拓森ゼミナールで受験を制す　勝利へ飛翔！！」
キーキー声の機械音声が叫び、駿介は思わず顔をしかめた。15秒の塾の宣伝がおわり、次の広告が流れ始めた。
駿介はもう見る気が失せてしまった。それは1分広告だったのだ。

ただ、その広告が駿介を変えたのだった。