座敷童子

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座敷童子

これは岩手に住む親戚、藤村(仮名)さんから聞いた話だ。 藤村さんの家は祖父母と息子夫婦、そして小学生の悟君合わせて五人暮らし。 昔から地元で代々農業を営んでおり、古くからこの地に住んでいるという。 そんな藤村さんの家には、近所でも有名なある噂があった。 それは、かの有名な座敷童子。 藤村さんの家には座敷童子が出ると、昔から噂されているそうで、夜中になるとよく家の階段からパタパタパタと、子供の小さな足音が聴こえて来るのだとか。 一人息子である悟君は、祖父母や両親からよく聞かされるそんな座敷童子に会いたいと、常日頃から思い焦がれていた。 子供だから友達になってくれるかもしれない。 悟君はそう考え、ある日の夜、一階の自分の部屋で夜中になるまで待つ事にした。 明日は日曜日、学校も休みだ。 悟君は眠たい眼を必死に擦りながらその時を待った。 暫くすると、部屋の外、階段の方から音が聴こえてきた。 ──パタパタパタパタ。 足音だ。 悟君は興奮した様子で部屋を出た。 足音を立てないようにそっと廊下を渡り階段へと近付く。 どんな子だろう? 悟君はそう考えながら期待に胸を膨らませ、そっと柱の影から階段を見上げた。 が、次の瞬間、悟君はその場から転げる様にして逃げ去ってしまった。 両親の部屋に駆け込み二人の間に潜り込むと、そのまま震えながら朝まで必死に目を瞑った。 翌朝、家族一同で朝食を囲んでいると、母親がこんな事を話し始めた。 「悟ったら、昨日座敷童子の足音を聴いたから見に行って、怖くなって私達の部屋に逃げてきたんですよ、もう九歳になるのにこの子ったら」 すると祖父が嬉々として口を開いた。 「おお!悟、座敷童子と会ったのか!?」 だが、悟君は曇った表情のまま俯き黙り込んでしまった。 「座敷童子は子供の妖怪だ、怖くなかったろ?」 祖父は首を捻りながら再度問いかけた。 すると、悟君は重い口を開くように話し出した。 「階段に知らないお婆ちゃんが居たの……そのお婆ちゃん、僕の方を見ながら両手で階段の板を、パタパタって叩いてた……」 それを聞いた家族一同は、青ざめた顔で驚愕し黙り込んでしまった。 以上が親戚である藤村さんから聞いた話だ。 藤村さん一家はその後も、あれは座敷童子だと、近所にはそう言い張っているらしい。
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