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 一同なるほどと思い、風だけは遮られたものの寒さまではどうにもならない簡易な小屋のような待合室で、とりあえず名刺を渡され、やっぱり怪しいと美月が言い出し、軽い言い合いが始まったところで近所の住人らしい初老の女性が現れて、話は中断。ただでさえ、一目で高校生とわかる三人が、これから高校を離れるバスに乗ろうというのだ。余計に目立つことは避けたい、そんな暗黙の了解があった。雄馬も特に目立ちたいわけではなく、やがて出発予定時刻の数分前に現れたバスに乗り込んでからも、終始無言。バスを降りて最初に目についたあいている店がここだったため、とにかくまずはということでそれぞれ飲み物を注文し、落ち着いたのがついさっきのこと。 「で、どういうことなんですか」  もう一度繰り返す正志。 「何から説明したらいいのか……」  雄馬はコーヒーを一口啜り、天を仰いだ。 「うん、順序立てて、というのは無理だな。結論から言おう。あの女の子は、誰かの……様子からみて、君らが知っているらしい、その誰かの……『片割れ』だ」 「それって……」  一瞬早希に、そして美月に視線を走らせたあとで、正志が言う。 「いわゆるアレですか、ベターハーフとか、我が片翼とか」 「え? いや、そういうことではなく、単に一人の人間がだな、二つに分割したその……っておい、まさか君らの知り合いって男なのか?」 「えっ」 「は?」 「あのそれ」  三人三様の声に、雄馬は目を丸くし、ため息とともに頭を抱えた。 「マジか~。そんなややこしいことになってんのか~。あの子そんなこと一言も……」 「あの、男だったら、何か……」  早希が言い淀んだ先を美月が引き継ぐ。 「何か悪いんですか?」
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