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11.
「ばっかばかしい!」
美月が怒りとも呆れともつかぬ声をあげる。
「早希、いこ。話聞くだけ無駄だった。こんな与太話に付き合ってこっちから話してあげることなんてないよ」
「でも……」
もう立ち上がらんばかりだった美月が、早希の声に動きを止める。
「ごめんね、美月、あたし、もう少し、話聞きたい」
「何言い出すのよ、こんな話が少しでも信じられるって……」
「でもさ、美月。そもそも今回起こってること自体、普通じゃないって思わない? 夢のことだってそうだし、その登場人物が実際に出てきたことだってそう。わかるよ、気のせいかもしれないし、錯覚かもしれない、昔の知り合いが思い出せないだけかもしれない、そう言いたいんでしょ? だけど、そうだったとして。ただの錯覚や、思い出せない記憶だけで、人が……明宏くんが、あんなことすると思う? あたしにはそれが一番納得できないの。相手が誰か分からないなら、わかるまで話を聞いたり、考えたり、調べたりするのが明宏くんだと思う」
「まあ、確かに」
正志は独り言のように言う。
「どっちかっつーと考えすぎるタイプだわな。だから俺も、たかが同じ夢続くくらいで眠れなくなるの、あいつらしいと思ったんだけど」
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