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「一応聞くけど、なんらかの確証があっていってるんですか?」  美月が聞くが、先程までの勢いは既にない。 「個人的には、それなりの経験の蓄積はある。証明できるかと言われると、信じてくれと言うほかないな」 「あ、そうですか、はい」  投げ出すような美月の返事に再び苦笑を浮かべる雄馬。 「あ、俺も、いいですか」  と、正志。雄馬は無言で頷く。 「ええと、だいたいのとこ理屈は分かりましたけど……さっき言った通り、あの女の子は、俺たちの友人である男と一緒にいるわけですけど……性別が異なるドッペルゲンガーってありうるんですか?」 「稀だがあり得ないケースではない。パイを剥がしたって均等に同じ厚みになるとは限らないだろう? 場合によっては途中で割れたり、穴が空いたりするかもしれない。それと同じで、人格のある部分だけに偏って分離が起こることは十分考えられる。どんな男も女の要素を持っているし、どんな女も男の要素を持っている。心の裡には異性に関する様々な知識や理想もあるだろう。そういったものを反映した、異性のドッペルゲンガーというのも、理論的には十分存在しうる。ある意味アニマやアニムス……ユングにおける、無意識の異性イメージが具現したようなものと言えるかもしれないな」 「それも経験から?」 「まあ、そうだ」
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