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「まあ、深刻な気分はちょこっと横に置いといてですね」  正志の声に、凍りついた空気は破られた。美月がすぐさま食ってかかる。 「置いといてどうすんのよ、こんな……ううん、信じたわけじゃないけどさ、だけど妄想にしたってこんなヤバげな仮定を突きつけられて、あんたみたいに能天気に」 「はいはい、能天気ですよ、俺は。だからこう言う空気苦手なの。だいたい深刻になったって何も進まないでしょ。ついでだから信じる信じないもこの際ほっとこ。真相がどうでこの先何が起こるにしたって、俺たち全員があの二人を見つけたがってる、これは間違いないわけでしょ」 「……ずいぶんまともなこというじゃん、アホ正志のくせに」 「へいへい、おおかたアホだから考え過ぎずに済むんでしょうよ」 「あー、それこそ非生産的な痴話喧嘩はあとにしてもらえるか」  そう口を挟んだ雄馬を美月が睨みつける。 「痴話喧嘩とかじゃないんで」  尖った声音でいう美月に、雄馬は体を震わせ小刻みに頷いた。 「ま、まあとにかくだな」  咳払いを一つ。 「彼のいう通り、ここはとにかく彼らの居場所を見つけ出すのが先決だ。どうだろう、心当たりはないか?」 「そういわれても」  途端に口ごもる美月。
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