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早希はといえば問われるまでもなく考え中。明宏君が女の子と行くとしたら……だが思いつくのは自分が明宏と一緒に行きたい場所ばかりで、ちっとも思考が前に進まない。
「まあどうせ当てないんだし、難しく考えなくてもいいんじゃないですかね」
誰も何も思いつかないらしいのを確かめたように、明宏がまた沈黙を破る。
「うん? どういうことかね?」
「何よ、難しく考えようったって無理なだけでしょ」
「そう、無理なんだって、十分な情報もないのに難しく考える、なんてさ。だったらなんとなくそれっぽい場所を片っ端から当たるしかないんじゃないの」
「なんとなく?」
奇しくも三人が同時に言う。
「そう。女になれてないティーンの男子が、初めてのデートで行きそうな場所。おしゃれなカフェとか、眺めのいいところとか、ちょうどやってればロマンチックな映画とか。早希ちゃんあたりが詳しいんじゃないの、そういうの?」
「何よ、あたしだって」
いいかける美月に重ねて、早希はおずおずと言う。
「あの……そういうのでいいなら、いくつか」
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