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「何で突然芸森なんですか」  ハンドルを操りながら、洋司は言う。 「それに、君……高校生だよね? 学校は?」 「黙って運転してろ」  という後部座席の雄馬の声に、 「いやあ、あはは」  正志の声が重なる。 「なんか、犯罪とか、倫理的にまずいことじゃないんでしょうね」  洋司は言う。 「あの子出入りさせてるだけでも近所の目が気になるって言うのに、この上エスケープの手伝いまでして、何がしたいんですか」 「あれ、言ってなかったか」  雄馬は言う。 「あの子を探すんだよ」 「それは聞きましたけど……ほんとに芸森なんかにいるんですか」 「保証はないな」 「えっ?」 「あの、ですね」  正志が口を挟んだ。 「その子、俺もちらっと会いましたけど……俺の友達と一緒にいるっぽいんですよ。で、まあ色々あってそいつ探してるんですけど、仲間が言うには、デートに行く場所としてはありなんじゃないかって」 「そりゃもっと暖かい季節の話じゃないの」  と、洋司。 「こんな寒い中、わざわざあんな」 「それはそうでもないみたいで。クリスマスアート展ってのがあったり、あちこち飾られてたり」 「クリスマスの飾りなんか街中でも見れるのに」 「モテたことのない男の意見より現役女子高生の意見の方がいくらか当てになるだろう」  雄馬が強い口調で言った。 「いいから黙って運転しろ」
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