魔法の箱貸します

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「あぁ、あれね。レンタルしたいの?今ね、借りてるお客さんがいるから、2日後にはかえってきますよ」 「……聞いた事ない名前なんですけど、なんなんですか?」 太った店主は頬の肉を持ち上げ、再びニンマリと微笑む。 「魔法の箱ですよ。開けることができれば、願いが叶う。ただ、箱の板をスライドさせて開ける箱でね、その細工がとても難しくて、開けたことがある人は少ない。レンタル期間も1週間までと決めさせてもらっていますよ。1日100円。どうします?今は予約がないので、予約できますよ」 魔法の箱。願いが叶う。ゲームのような細工された箱。1日100円。 ……楽しそうだ。と思ってしまった。 「1週間予約します…」 店主はフフフと笑いながら「ありがとうございます」と言って、ノートを取り出した。 「…学生さんですよね?では、2日後の下校時間にでも取りにきてください。料金もその時で。お名前は?」 「黒崎、龍也」 店主は、ノートに2日後の日付と、僕の名前を書くと、「楽しみにお待ちくださいね、他の品物もご覧になりますか?面白い商品が沢山ございますよ。刀傷が入った箪笥や、毒殺されたとされるご婦人のドレスなども」 ゾッとした。 友達と来ていたならば、面白おかしく見ていたかも知れないが、1人はちょっと心細い。 「いや、帰ります」 「そうですか、フフフ。どうぞお気をつけて」 店を出ると、暗いはずの路地が明るく感じた。 …2日後か。 楽しみだな。 僕はそのまま電車に乗って家に帰宅した。
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