魔法の箱貸します

7/10
前へ
/10ページ
次へ
今日で5日目。 昨日咬まれた歯形は、綺麗に残っている。思いっきり咬まれたと言う感じで、夢ではないと見るたびに思う。 ガムテープを外さないで、このまま、あのアンティークショップに持って行こうか、それとももう少し頑張ってみるか悩んだ。 とりあえず頑張るにしても、少し開いたくらいで、手を突っ込んだりしてはいけないことは学んだ。 悩んだ結果、僕はガムテープを剥がして、箱を机に置いた。 そして、続きを始める。 スライドする度に、軽くカチと白い板の音がする。 時間を開けたのが良かったのか、うまく細工が解け始める。 パズルのピースが次々とハマるような感覚で気持ちいい。 そして、ついに箱を半分ほど開けた時、そおっと箱を傾けた。白い石が、つつつと流れ出てきて、内心「やった!」と興奮する。 が、取り出そうとすると、まだ開けられていない蓋の影からまた何かに咬みつかれた。 「うわぁっ!」 椅子を後ろに倒してしまい、大きな音が鳴る。 姿は見えないが、威嚇するような、シャアッと言う声が中から聞こえる。 "食べられていないといいのですが" 店主の言葉を思い出す。 まさか、この化け物が、サラマドルをレンタルした人間を食べた? 俺は三日月の石を、使うことにした。 食べられる訳にはいかない。 サラマドルの箱にポイと三日月を入れる。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加