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聞いたことのない魔法の箱。
そこに住む見えない化け物。
それ以上聞かなくても、何か良からぬ物の肉なんだとは思う。
それを触っていたなんて。
「箱の中の生き物に、2度も咬まれたけれど、何か毒とかはないんですかね?一応消毒はしましたが」
「あぁ、大丈夫みたいですよ。小さくても凶暴な怪物ですが、光が苦手でね、すぐに奥に引っ込んじまう。蓋を全部開けて光を入れて灰にしないと、咬みついたり、ひっかいたり、時には、小さな体とは思えないほど、大きな獲物を影に引き込んで食べてしまったり。まぁ、そのくらいの傷なら、しばらく跡が残る程度です」
大きな獲物を食べる。
やっぱり人間含めてか?
「レンタル期間は明日まで。頑張って下さいね、フフフ」
アンティークショップを出て、トボトボと駅へ向かう。
開けるのは無理そうだ。
そう思いながら電車に揺られた。
家に帰ると、ガムテープを破り、白い箱を取り出した。
もしかして、この箱も、木や石とは違う何かで出来ていたりして。
獣の骨とか…まさか、人間の…
一瞬手を引っ込める。
怖い話は好きだけど、呪いの箱とかやめてくれよ。
とりあえず、箱の中からは何の音も聞こえない。
あの化け物もいるなんて思えない静けさだ。
大金持ちになりたい。
そうは思うけれど、もう時間がない。
明日には返さなければならないのに。
とりあえず元通りの箱の形へ戻す事から始めた。
が、それさえもうまくいかない。
もう数時間経ってしまった。
俺は椅子の背もたれに勢いよく倒れた。
あぁ、もう無理だ。
返す時に、元に戻すこともできませんでしたと、謝ろう。
母親から、新しい紙袋を貰って、ガムテープをはり、
次の日、放課後にその紙袋をアンティークショップへ持っていった。
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