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狭い峡谷の底。
吹き荒れる雪の音が耳を鳴らす。
見えるのは白い嵐。
ホワイトアウトだ。
他は見えない、何もない。
聞こえるのは海の神の悲鳴。
先に逃げて行ったトナカイの群れは里を越えて行っただろうか?
里山を見た。
遠く夜の明かりが見えた。
天井の星々のような村の明かり。
ふと吹雪の山々を見た。
山脈の切れ間越し凍結した内海が小さく見える。
その山裾の森に小さなカンテラの明かり。
女の子がいる!!
その娘の前に黒い人影が見えた。
中年風の女だ。ただの女ではない。
本能が俺に告げている。
あれは人に化けた狗神だ。
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