第13章.雪嵐⑴

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 春の訪れにツンドラ群から森の中へ、地衣類などの 食物を折って森に入っていたトナカイが鳴き声も荒く(ひづめ)を鳴らす。 その数500万。 大陸が鳴り響き、白煙を立てる群れが里山を通り過ぎてゆく。 その黒だかりの群れを横目にキーンキーンと響く海の神の声。 また雪崩が海の神の一部を雪に埋め、止まった足を間髪入れずに 吹き抜ける雪嵐が逃げ道を塞ぐように氷結させる。 何かの力がココにある。 雪と氷の化身だ。 雪と氷を操り吹雪を生み、気候さえ操るアイツらだ! 狗神がココに居る!! 辺りを見渡す。 居た! 氷山の頂上に黒犬が見えた。 一匹ではない。 何匹も居る。 ただそいつらが吹雪を操っているのではない。 ただ動かずに何かを見ている。
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