第4章.異変⑴

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 分んないよ、そんなの。 ただ氷牙の側に居たいだけだよ。 声を聴きたい。 姿を見たら目が追ってしまう。 あの青い瞳に会いたい。 何故それがいけないの? 一緒に遊んだりご飯を食べたり、話したりしたい。 手をつないで歩きたい。 笑ってる顔に会いたい。 体温を感じるほど、近くに居たい。 それが何故いけないの? 「その昔、だからだ。」 え?あたしの心を読んだみたいに狗神が答える。 その声が問う。 「禁を破った狗神がどうなるか・・ 其方は知らぬのか?」 穢れた狗神はもう狗神じゃない。 氷牙が言ってた。 「そうだ。堕ちた狗神はもはや神ではない。 我は狩らねばならぬ」 「我は氷牙を死なせたくはない。」 狗神は続ける。 「だから近づくな、氷牙を惑わすな。 我は氷牙を殺したくはないのだ」
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