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春を迎え新しい学校生活が始まった。登校する時はいつも学校での1日を思い描いて嫌な気持ちでいっぱいになるけど今日だけはそうじゃなかった。
やっと田中君と違うクラスになってクラス中からのいじめが無くなる。
友達はできないだろうし、からかう子はいるかもしれない。
教室を出れば、また田中君達から嫌がらせにあうだろうけど、それでも授業中に消しゴムを投げられる事も、給食の牛乳を一気飲みさせられる事もないと思うと私は幸せで幸せでたまらなかった。
でも私は廊下の掲示板に貼りつけられたクラス変えの紙を見て驚愕した。
5年1組のクラスの紙には私と田中君の名前が書いてあったのだ。
私は何かの間違いだとすぐさま職員室に向かった。
「河合さん、どうしたの?」
4年の担任だった古門先生が私を見つけて声をかけた。
「あ、あの、新しいクラス」
「そうね、河合さんは去年に引き続き私が担任だから5年生もよろしくね」
「ちがっ、田中君が」
「そうよ、田中君も一緒。職員会議で先生が同じクラスになるように頼んだの。去年は仲良くなかったみたいだけど、先生も逃げちゃダメだと思ってね。5年生は仲良くしましょうね。今年こそ先生があなた達を友達にするから。先生と2人で頑張りましょう」
先生は満足そうにそう言った。
私は目の前が真っ暗になった様な気がした。
また1年田中君と同じクラスになるなんて思いもしていなかった。
いじめられている現場を見て軽い注意と学級会で私を前に立たせて、みんなの話を聞くくらいしかしてこなかった先生は教師としてのこの自分の立ち振る舞いに完全に酔っている様に思えた。
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