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「なんだお前泣いてんの?きったねー」 全く悪びれる様子も無く田中君が私を茶化す。クラスのみんなは笑ったりする事はないものの、それを止める様子もなく、泣いてる私を少し軽蔑しているように思えた。 その時教室の後ろのドアがガラガラと勢いよく開いた。 「おっしゃ!いっちばーん!この調子だとビリはバイクだな」 開いたドアの方を見ると息を切らしたように昨日病院であった男の子が大声をあげていた。 「やっぱ早いよ、友輝。次からはルール変えようぜ」 続いて入ってきた子は男子にしてはあまりにも長い髪の毛を手で整えながら同じように息をきらしていた。 「修平に勝ったあ!」 「いや、先に足を入れたのは俺だ!」 ほとんど同時に2人の男の子が入って来ると次はかわいい女の子がその2人の背中を押して入ってきた。 「女もいるのにかけっことか最低」 怒ったようにそう言ったその子は小学生にしてはあまりにも大人びていて、まるでランドセルが似合わなかった。 「いいじゃんか。結局最下位はバイクだろ」 耳をすまさなくても分かるほどドスンドスンと大きい地鳴りがした。 その足音が段々教室に近づくと後ろの扉から心配になるほどお腹が出た肥満体型の男の子が汗をダラダラと垂らしながら入ってきた。 「友輝、もう競走はやめようっていったじゃん」 「わかったわかった、次からは別の方法にしてやるよ。でも今回蛇の尻尾にバッタくくりつけるのはバイクな」 私の気持ちとは正反対と言わんばかりに教室の後ろで楽しそうに6人の小学生が笑い合っていた。 何に驚いたか、その異様な6人組にも面食らったが、そんな事より、さっきまで止まらなかった涙がその6人を見ていると知らない内にピタリと止まっていたのだ。
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