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あの大喧嘩以来、田中君達からのいじめが少しだけ落ち着いたような気がする。 隣に友輝君がいるからだと思うけど去年のようなひどいいじめは数日受けてない。 その代わりに女子からの陰湿ないじめは増えた。きっとあの4人組の仕業だろう。 私の傘が折られていたり、裸足で歩いた方が汚れない程の泥が上靴に入れられていたり。 でも私はそんな事されるくらいは全然平気だった。それには大きな理由がある。 「はいこれ。次あんたの番だから。あと同じクラスなんだから学校で起きた事とか書かなくてもいいよ」 「あ、そ、そうだようね。ごめんね」 私は毎日の麻奈ちゃんとの交換日記が楽しくて仕方なかった。 自分が書いてる時すらもワクワクして、字が少しでも汚いと思ったら消して綺麗な字で書いて、少しでも楽しい事や面白い事を書くよう心がけて日記を渡した。 でもとにかく麻奈ちゃんからもらう日記が楽しみで楽しみで麻奈ちゃんから渡されるのが嬉しくてしようがなかった。 日記には家族の事なんかも書いてくれていて麻奈ちゃんには6つも上のお兄ちゃんがいて、それを読んでいると私も兄弟がほしかったなあ、なんて少し憧れたりもする。 そんな憧れちゃうような家族の内容よりも友輝君達と遊んだ日の日記は読むと笑顔がこぼれてしまうほど楽しくなる。かわいい麻奈ちゃんの丸い字を読んで自分も友輝君達と遊んだような感覚になる時もあれば笑っちゃたり、ちょっと私には無理かもと思うような怖い内容もあって物語を読んでいるような感覚にすらなった。
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