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学校にエアガンを常に持ってきているのか。そうだとすると危険というか警戒心が強いというか変わった子だなと思った。
「それより僕のこと、バイクってよんでくれるんだね」
「あ、ご、ごめんなさい。名前知らなくて。みんなそうよんでたから」
「いいよいいよ、バイクってよんで。友輝がつけてくれたあだ名なんだ」
「どうしてバイクなの?」
たしかにそれはずっと気になっていた。このポッチャリとした男の子にバイク的な要素はいっさいないし、どこを取ってバイクとつけたのだろう。どう言ったとんちが聞いているのか、はたまた何かバイクにまつわるエピソードからなのか。私は色々考えたが答えは出なかった。
「カッコいいから」
「え?」
「友輝曰くバイクってめちゃくちゃカッコいいからだってさ」
「え、どうしてそれでバイク君のあだ名になったの?」
「さあ?なんでだろうね。昔は豚まんとか肉団子とか単純なもので言えばデブってみんなから呼ばれてたから。でも友輝だけは僕のことをバイクって呼んでたんだ」
バイク君は別にそれをコンプレックスと思っていないかもしれないけど、見た目の印象でネガティヴなあだ名をつけられてそれが定着するのは、割とキツい事だと知っているから、その時のバイク君の気持ちはある程度わかる。
「いいあだ名だね」
「まあね、君もこれからはそう呼んでよ」
「バイク君」
バイク君と話していると彼がいかに優しい人間かが伝わってくる。
きっと天然でやってる事なんだろう話し方や受け答えのやり方で彼の人間性がわかる。それを無意識にやってるのだから彼は相当いい人なんだろう。
「あ、でも、くんはいらないよ。バイクだけの方が響きがカッコいいからね。バイク君だとちょっとかっこよさが半減しちゃう」
「うん、頑張って呼べるようになるね」
「僕は君のことなんて呼べばいいかな?」
「名前は河合正子だよ。……あだ名はゾンビ女…だけど」
するとバイクは笑った。
「ははは、ひどいあだ名。そのあだ名を受け入れちゃったの?」
「うん…だって間違ってないもん」
「間違いだらけだよ。嫌な事はいや。無理な事は無理ってちゃんと自分で言わないと」
「それがもっとできるようになるといいんだけど…」
「できるよ。僕も昔はいじめられてたから」
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