魔法少女の死に方

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 空からは地面を叩きつけるような猛烈な雨が降っていた。フェンスを乗り越え、あの日と同じ場所に立つ。思い返してみる、あの日ここでなにが起きたのかを。確か、飛び降りようとしたその瞬間、ルイウが背後から声をかけてきた。そして、目の前にチョーカーを差し出してきた。それに触れたとき、私の首にまとわりついてきて魔法少女になった。  そうだ、このチョーカーさえ外せれば人間に戻れるのではないか。試しに引っ張ってみるが、首に食い込むだけで外せそうな気配はなかった。金属ではあるが、切れるものはないかと、手元を探すもステッキぐらいしかなかった。こんなもの使えないと思い、屋上から落とした。外せる金具がないかも確かめたが、首をぐるっと囲むようにピッタリくっついていた。指一本がやっと入る隙間になにもできないもどかしさを感じていた。 「逃げても無駄なのに、なぜ逃げるんだい?」  後ろを振り返るとあの日と同じようにルイウが浮いていた。 「それだけ辞めたいのなら、今すぐ楽にしてあげるよ」  そう言って私の首にまとわりつく。ぎりぎりと首を締め付け始める。違う、こんな死に方をしたいんじゃない。なんとか抵抗しようと、その尻尾を掴むが、力は弱まらない。やめてと何度繰り返しても、締め付けられるばかりだった。なんとか抵抗しようと、その尻尾を掴むが、力は弱まらない。やめてと何度繰り返しても、締め付けられるばかりだった。 ルイウの尻尾を握りしめ、なんとか引き剥がそうとする。それでも力は弱まらず、最終手段として噛みついた。すると、そこで初めて力が弱まった。ここぞとばかりに、更に強く噛みつく。
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