魔法少女の死に方

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 思っていたよりダメージは受けなかった。一瞬、全身に激痛が走ったがすぐにそれも治まり頭から着地した五秒後には無傷の状態で立ち上がれた。その足で私はまず、主犯格の取り巻きである一人の家へと向かっていった。なぜ、その人の家を知っているのかはわからなかった。ただ、頭の中にそいつを殺しに行こうと考えた瞬間、地図も一緒に頭の中に思い浮かんだのだ。身体は宙に浮いている。二階のその子の部屋の窓をノックする。しばらくして、彼女はカーテンと窓を開けた。 「えっ、なに……誰なの?」 「あはっ! 私の個人的な恨みを晴らしに来ました!」  声を聞いて、誰なのかを理解した途端その顔は真っ青になった。 「は? 如月? あんたなんで、なんで……?」  聞きたいことが多すぎるのか、口は餌を求める魚のようにみっともなく動いていた。うわぁ、私こんなやつのせいで死のうとしていたんだ。そう考えると自分に対しても嫌悪感が湧いた。ステッキでその頭を一発殴る。思っていたよりも力が増しているのか、彼女は言葉通り吹っ飛んでいった。窓から中へ侵入し、死んだのかを確認したが頭から血を流しているだけで死んではいなかった。なんだ、一発じゃ死なないのか。もう一度ステッキを振り上げると彼女はかすかな声で、助けてと言った。過去の自分が蘇る。 「私の助けてを散々無視して、弄んだくせに自分は助けてもらえると思っているんだ?」  ニッコリと笑って、そんなわけないでしょと言ってハートに生えた羽の部分で脳天を突き刺した。最後に立ち上がって、私が散々された顔を踏みつける行為を同じようにしてやると、心の底から満足感が湧き上がってきた。言いようのない高揚感に思わずうっとりとする。階段からドタドタと足音がしたので、急いで窓から外に出た。家から聞こえてきた悲鳴を味わいながら帰路についた。
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