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そう叫んだ途端、ルイウから背筋が凍るような、冷たい視線を感じた。キラキラとした丸い目が、光を失い鋭く睨みつけてくる。
「いいよ、魔法少女を辞めても。ただ、辞める前に僕は君を使いたいように使ってから捨てるけどね」
「なにそれ……捨てるってどういうこと?」
波の音が荒れてくる。
「そのまんまの意味だよ。君にはその身体に溜め込めるだけのモヤを吸収してもらう。そして限界を迎えたときに、モヤでいっぱいになった君と解約して殺人鬼となった君を他の魔法少女に殺してもらう。そうすればこの街もしばらく平和になる。次の魔法少女を見つけるまでの時間稼ぎになってもらうよ」
小さな手をすっと空へ向けた瞬間、私は背を向け走り出していた。違う、そんな終わり方がしたいんじゃない。私、なにも知らなかった元の生活に戻りたいだけなんだよ。いつの間にか降り出した雨に足を滑らせないよう、ひたすら走り続けた。向かう先はわからない。でも、ルイウから逃げなきゃ。それよりも、魔法少女をやめる、もっと別の方法を考えなきゃ。私が魔法少女となった原点、学校の屋上へ戻ってみよう。
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