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【私がメイドとしてお仕えすると決定した際、私は絶対にしてはいけない事を釘を刺されて言われた。それは、お坊ちゃまに怖い想いをさせないという事である。 正統な次期当主であるお坊ちゃまを手に掛けこのままウォランス家を衰退させようと企む者がいることは既に予測済み。その者たちからお坊ちゃまをお守りするのは当然だが、自分が命を狙われていると知ってしまったり実際に襲われてしまうとまだ幼いお坊ちゃまは深く傷ついてしまう可能性がある。 お父様やお母様がいらっしゃらない分、悲しい想いをされているお坊ちゃまをこれ以上、傷つけたくはないという皆様の想い。その為、私は脅威があろうともそれをお坊ちゃまに知られぬまま排除するよう言い付けられている。お坊ちゃまが伸び伸びと楽しくご成長できるようにしなければならないのだ】  お坊ちゃまの寝室前に集まった六つの影。  私はそのドアを開けさせてはならないと急いで駆け寄ると床を蹴り男たちの中へ飛び込んだ。空中でクナイを二本構え着地前するより先に投げ飛ばす。一本、二本とクナイは二人の男の首筋に突き刺さった。声も無く倒れていく男に合わせるように私も着地。周りには四人の男たち。  私は一番近い男の銃を手中から床へ落とし、直後に体に忍ばせたクナイを銃を構えた別の男の手に投げ突き刺す。血と共に銃が落ちるのを見届けはせず、最初の男の腕を捩じり上げ動きを止めながら更にもう一人の銃を蹴り上げた。  そしてまず腕を捩じり上げていた男を最後の銃を持った男の方へ押し投げる。その後、銃を蹴り上げた男の手を掴み引き寄せ、顔と腹部に一発ずつお見舞いすると手にクナイを刺した男の方へ押し投げた。透かさず体勢を立て直した最後の一人から銃を奪い取ると投げ捨て、一人を流れるように床に沈める。  それからクナイを抜きもう一人へ狙いを定めた。 「三」  そう呟きながらもう一本抜きつつ振り返り、後方で銃を拾おうとしていた手を止めた。  私は手が銃から遠ざかったのを確認すると歩き出しその二人の元へ。  だがその途中、後ろから床に沈めた男が思ったよりも早く立ち上がり私の体を抱き付くように拘束した。
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