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エピローグ
私はお城の玉座の間で大魔王さまをお守りするミノタウロス。友達にはミノちゃんと呼ばれている。相棒のミノタウロスのタウくんとは、いつも一緒だ。大魔王さまのほうが私たちよりも圧倒的に強いのだから、本当は護衛する意味なんてないことは十分に理解している。それでも私はタウくんと同じ場所にいられるだけでドキドキときめいて幸せなのだ。
ある時、私は大魔王さまの玉座にどうしても座りたいという衝動に駆られ、ちょっとだけ座ってみた。すると、ピキッと嫌な音が聞こえた。
「ヤバイ!」
大魔王さまのお気に入りの玉座なのに…なんてことだ。大魔王さまは細身だからなあ。
私は隣のタウくんの顔を見る。彼は『何も見ていないよ』という雰囲気で目をそらしてくれた。タウくんは本当に優しいなあ。
そして、今日は勇者ロトトが現れ、爆発の呪文を使って大魔王さまを攻撃した。あの程度の魔法では、大魔王さまに全く効いていない。
でも、私にはそれが好都合だった。もしも魔法で玉座にキズが付いていたらラッキー。玉座が壊れていてたらサイコーだ。すべてあの勇者のせいにできるわ。玉座を壊したことが、大魔王さまにいつバレるのかドキドキだったのだから…。
今日の牡牛座は本当にツイている! 占いって当たるのね。
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