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「やだやだやだやだ」
「空けたいって言ったのややちゃんでしょ〜?」
「……だっておそろいしたかったんだもん」
「ん?なんて〜?」
「もー!言わないー!」
ややちゃんが空けたいと言い出したピアス。おそろいにしたいからと買ってきてくれたピアスを付けるために意を決して空けることにした。わたしの分は自分ですんなり終えて、あとはややちゃんの分なんだけど……。
「や〜だ〜痛い〜〜」
「まだ何もしてないでしょっ」
「うぅ……」
「あ!」
「えっ、何?わ、痛っ……って、え、千那ぁ〜!」
ああ、ほらまた泣く〜。もう、ほんっと、ややちゃんってば手がかかる子。
「騙した!千那が騙したぁ」
「もう〜泣かないの、ね?ごめんってば。でも綺麗に空いたよ」
「じゃあおそろいする?」
「ややちゃん、ファーストピアスは一ヶ月は外さない方がいいんだよ」
「え、じゃあおそろいは?」
また口をへの字にして泣くのを我慢するややちゃん。泣いたり怒ったりまた泣いたり、忙しいややちゃん。
「これじゃダメ?」
差し出したのはシルバーのシンプルなリング。
「……え、わ、やったぁ!ねえねえ、千那付けて!」
「はいはい」
嬉しそうに手を見せつけながらにっこり笑うややちゃんが心底愛おしい。
そんな泣き顔も、笑顔も、いつだってこれからはもっともっと隣で見ていたいから。だから、絶対に、肌身離さずにずっと付けててね、ややちゃん。
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