食べる

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3章 つばめ 中学生になると、いろいろなものに興味が湧くようになりました。 道で轢かれている猫の死体。 近所のうるさい犬。 でも、それらを食べようにも、周りの目があったので、食べるわけにはいきませんでした。 でも、中学2年の春、絶好の機会が訪れました。 中学校の渡り廊下に、つばめが巣を作っていたのですが、体育の時間にお腹が痛くなり、保健室に向かおうと渡り廊下を通ったら、その巣から、つばめの雛が一匹落ちていたんです。 体育館からはバスケをするクラスメイトの声は聞こえますが、誰もこっちに来る気配はありません。 頭上ではつばめの雛がうるさく鳴いています。 落ちた雛はよわよわしく鳴いていて、まだ生きていました。 この小さな生命を、「食べたい」と、思いました。 雛をつまみ上げると、指先で命を感じました。 ふっと、砂を吹くと、頭から、齧りました。 しょっぱい、そして苦い感触がありました。 雛の体からは血が流れます。 急いで頭を奥歯で噛み砕いて、血をすすりながら、雛の体も口に入れました。 雛の足が硬かったですが、噛み砕くことはできました。 雛の血の味と、苦味を味わって、ごくりと飲み込みました。 不思議なことに、雛を食べ終えると、腹痛が治まっていました。
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