食べる

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5章 指 精神科病院では、基本暇だったんで、いろんなものに興味がでましたね。 シャッターの錆び、風呂場のカビ、そして自分の排泄物。 ある日には他の患者の排泄物とか、爪を食べましたね。 面白がって、わざわざ1年貯めた爪を僕にくれた人もいました。 そんな感じだったんで、入院は長引きました。 退院できたのは二十歳を越えてからでした。 その頃には薬の影響もあって、食べることに興味がなくなっていました。 そんな時、町で、中学のクラスメイトにあったんですよ。 はい、あの目を抉った奴です。 そいつの顔を見た時、思い出したんです。そいつの「味」を。 しばらくは普通に接していました。遊びにいったり、「フツー」に。 それからしばらくして、僕はそいつの指を見たんです。綺麗な指でしたね。 それで、衝動的にホームセンターで包丁を買ったんです。ええ、そいつの指を切るために。 公衆トイレに連れ込んで、そいつの小指を、切り落としました。包丁で骨を切るのは苦労しました。そいつも痛みで抵抗するんで、何度も殴りました。 そして、切り落とした小指を心ゆくまで味わっていたら、悲鳴を聞き付けた奴が通報したみたいで、人生で二度目のパトカーに乗りました。 そこからは、未成年ではないんで刑務所かなあと思ったら、また精神科病院に入院になったんです。 退院してから一年後でした。 罪悪感ですか?そいつに? いいえ、そいつは医大の学生って言ってましたからね。新聞とかにさいせーいりょーとか書いてあるし、指なんて戻せるんでしょ?
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