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7章 鑑定
薄暗い診察室。
パソコンの画面を見ていた二人の医師は同時にため息をついた。
「ちょっとすみません」
と一人の若い医師が立ち上がった。
「気分悪くしたなら、悪かったな」
少し年配の医師が白髪混じりの頭を撫で付けた。
「いえ」
立ち上がった医師はシンクの前に行った。精神科の診察室なので、安全のため鏡は設置されていない。
「警察から精神鑑定を依頼されたんだが、どう思うね?アメリカで犯罪心理学を学んだ君の意見が聞きたくてね」
若い医師はメガネを外すと、ため息をついた。
「そうですね。僕の意見は」
そういいながら、若い医師は右目に指をあてた。
その右手の小指は第2関節から先が、無かった。
右目にあてた人差し指をグイっと下から持ち上げるようにすると、義眼が取れた。
義眼を水道で洗うと、また下瞼をあっかんべーするみたいに引き下げて、義眼を右目に嵌め込んだ。
胸ポケットから点眼を取り出し、数滴右目にさす。
「僕の意見はなぜ女の子だったのかってことです」
「ん?」
若い医師の言っていることが理解できなくて、年配の医師は聞き直した。
「僕は彼を知ってます。彼に右目を抉られ、右手の小指を切り取られたのは、僕です」
年配の医師が息を飲んだ。
「僕じゃダメだったのかそれを彼に聞きたい!……僕は、僕は彼に「食べられたかった」!」
了
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