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座るブランコを震わせて、くの時になったままくつくつと笑いを漏らすあいにつられて僕も破顔していた。
「そうそうキミちゃんってそういうトコあったのよね! それ見てたヤッチが慌てちゃって! あの時の顔ったらなくって!その後はもう…… 」
無くなっていた目が打って変わって開けば、良く動く瞳が当時を見直す様に辺りに走る。現役高校生である事を差し引いても高いテンションだ。
「あい、笑い過ぎ。7歳の子にそりゃ事件ってものさ」
彼女は身を起こしつつそうねとまた目を無くして笑った。そして何か思い出したのかそのまままたぷっと吹き出す。
僕が何さと聞けば『犬』と返って来た。
「乱入して来なかった? 私追いかけられた! すっごくすっごく追いかけられて人生終わるんじゃないかと思った! 」
「ああ、どっかの犬が急に走ってきたっけ、リード引きずった飼い主が蒼い顔でジョーン!とか大慌てで! あいも凄い顔してた! 林檎みたい真っ赤な顔で凄い悲鳴上げながら逃げまどってた」
僕が肩で笑うと彼女は背中をばしんと叩いて膨れた。
「何で助けてくれなかったのよ! 」
「追いつけなかったんだよ! あの時のあいはきっと世界新を出していたな」
「嘘! 正人はとっとと滑り台の上に逃げてたわ! 薄情者! 」
そうだっけ?と空を横目で見上げる。ああ、暮れて来たんだなとふと思った。
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