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針葉樹林の中も安全ではないと、すぐに身を低くかまえた。それはまるで戦場の中をくぐり抜けて来た老兵が、いち早く火薬の匂いをかぎ分けて、危険を回避するようだった。火薬が爆発したら無論大火傷ではすまないし、戦死してしまう。田中理沙は近くに動物がいると、察していた。野生の大型動物に遭遇すると危ない。猿や猪のパワーは、人間とは比較にならない程、強いし恐ろしい。田中理沙は県道48号線に戻り、明かり情報を求めて歩き出した。もう、黒田明の運転する車、白いクラウンは行ってしまったし、また、何か車が走って来たらすぐに、隠れてやろうと考えていた。しかし、謎が多い事に田中理沙も気がついていた。やたらにカーブが多いし、短い橋も2回渡っている。それに県道沿いなのに、東京電力の電柱がみあたらない。おかしいではないか?どうしたんだ?東京電力の電柱がないとすると、この辺り周辺には、誰も人間が住んでいない可能性が高くなる。
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