新出会い系サイトのレイプマンの話

8/96
前へ
/100ページ
次へ
無様な姿をした、黒田明を見ていて、田中理沙も反省をしていた。何処が、かっこよくて素敵なんだと、どこが優しくて、ハンサムな、男なんだと、自分自身の錯覚に気がついた。それと同時に、隣のトイレに、駆け込んで、用をたしているうちに この暗い、ガソリンスタンドから早く逃げ出そうと思った。灯りもなければ、懐中時計もない、あるのは窓ガラスから、わずかに差し込む月の光のみだった。分厚く敷かれた新聞紙から一歩足を出して歩けば、ガラスの破片が容赦なく足に刺さってしまう。落ち着け、落ち着けと、自分自身に話しかけた。そうだ、私は黒い靴下と、黒い革靴を履いていたんだっけ、どこにあるんだと、月の光を頼りに、探したら、なんとか見つけることが出来た。黒い革靴を履いた後に、靴下を上着の中に入れて、あの男、黒田明が、トイレで、うなっているうちに、何か出来ることは、ないか?神経を尖らせた。すぐに、思いつたのが、あいつのズボンを持ち出してしまうことだった。自分自身も、忘れ物があってはならないから、電池切れのスマートフォンと、充電器を、スカートの中に入れた。スカートと、黒い靴下は、手に持つことにした。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加