眼生え

3/5
前へ
/5ページ
次へ
「実は、オレも……」    キャップを外し、前髪を上げて、第三の眼を見せると、彼女がゲラゲラと笑い出した。 「マジで? やばくなーい?」 「いやいや、オマエこそ。やばいだろ?」 「前髪で隠せばいいんじゃね?」 「いや、でもさ。これから大学受験とか、就職試験とかどうするの? それに恋人ができたら、もう隠せないっしょ?」    自転車に跨ったまま会話が続いていたが、彼女が突然、自転車を漕ぎ始めた。慌ててオレも、ペダルを踏んだ。マンションから川沿いの道をふたり、学校を目指した。 「じゃーさ。私たち、付き合っちゃえばいいじゃん?」 「え?」 「三つ目同士、仲良くしよう? よろしく」 「え!」  ある朝、突然爆誕した第三の眼のおかげで、ずっと片想いをしていた幼なじみが、彼女になってくれた。それなら一生、三つ目でもいいや。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加