機嫌予報士

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機嫌予報士

 混沌とする世界情勢の只中、僕は日々惰性に暮らしていた。そんな僕の心に世界平和への願いが芽生えたのは大学四年の夏のことだった。  その頃はまだ世界平和と呼べるほど大それたものではなく「目の前の人と(いさか)いがなくなればいいな」くらいの小さな萌芽だった。それは眩しい陽射しの下、奇妙な風に吹かれ、思いもよらない大きな花を咲かせるのだった。
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