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仁はその後熱を出したらしかった。仲間に運ばれ、医療部隊に保護され、それから記憶がない。
呼吸が楽になって気がつくと医務室だった。何日経ったかわからない。多分、既に解毒剤を投与されている。
額に絞ったタオルが置かれていた。彼はタオルを取って身体を起こす。早朝の時間帯なのか、室内も窓の外も、まだ暗い。
氷枕は意識の無い患者を夜間冷やし過ぎて危険だ。それはわかる。
――冷感シートは?
仁が見回すと、そばのゴミ箱にシートの空き箱が捨ててあった。使い切った模様。
足元が重いと思ったら、近くの丸椅子に座った凪が、徹夜も出来ずにベッドに頭をもたせ、寝こけている様子。よだれまで垂らして幸せそう。
「うふふ、由美さんたら、そんなコトまでして、やだー……」
いかがわしい夢を見ているらしい。
「何で男のお前なんだよ」
仁は呆れて凪の頭を軽くペチンと叩いた。
色気のないラストになった。
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