星が見ているもの

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 蒼太の優しさは、彼の命が消えても続いている。 「今度、蒼太の分も、新しい種を蒔いて育ててみるか」 「いいね。何の花だったら喜ぶかな」  陽介の提案に、私は泣き笑いで応える。 「さやかが植えた花なら、何だって喜ぶだろ、きっと」  しばらく、私たちは名残惜しげに星空を眺め、流れ星を待っていた。 「……ほら、もう行くぞ。明日、早起きして水やりするんだろ」 「……うん」  私の方へ手を差し出した陽介は、ハッとしたように星空を仰いだ。  こちらに伸ばしかけていたその手を、無造作に制服のポケットへ収めてしまう。  気づかないふりをした私も、彼につられて、夜空に浮かぶ星をさがした。  ――繋がれない二つの手。  芽生えかけた想いはすでに、土へ還っているはずだ。  いつか芽が出て、蒼太の花が咲いたとしても。  これから先も、陽介と結ばれることはないのだろう。  だけど、私たち三人の絆が消えることはない。  あの罪を心に刻んだまま、歩いていく。  蒼太の好きだった星や花を、目に焼きつけながら。
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