2.天井からぶら下がった足

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***  処女の売り方について語る黒服の様子には、笑いも嫌悪も存在していなかった。男は、これから少女に対して為されるであろう非道な行為について、一切の感情を抱いていない。それは、まさしく少女たちを商品(もの)としか見ていない者の態度であった。  ルーカスは、自分も同じ側の人間だと思っていた。 「死神みたいなもんさ」  昔、ルーカスは自分の仕事について、誰かにそう語ったことがある。  いや、違ったかもしれない。誰かにそう言われたのだったか。それこそ彼が一番思い出したくない記憶だった。  嗚呼、それなのに。  なぜだが今日は思い出してしまう。  フロントガラスに映り込む街並み――そこに重なる、女の面影を。  そうだ。彼が先の台詞を言うよりも昔。もっとずっと昔のこと。  あの女が言ったのだ。
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