エピローグ

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「…………あっ」  それとほぼ同時に、午前中はちっとも浮かばなかったはずの新曲の歌詞がポンポンと湧き出るように浮かび上がってきた。しかも最初から固めてあった、アルバムのコンセプトにしっかりと合うような。  忘れないうちにスマホのメモアプリに書き留める。うん、これはいい曲に仕上がりそうだ。 「いい歌詞、浮かんだの?」 「うん、スタジオ戻ったらすぐに作らないとね」 「そりゃ楽しみだ。俺もちょうど今、いいメロディライン浮かんだところだし」 「じゃあ早速作っちゃう?」 「そうするか」  本当ならもう少しこのキレイな桜並木に見惚れていたかったところはあるけれど、そんな呑気なことは言っていられない。この様子じゃ満開になってからそんなに日は経ってないみたいだし、落ち着いてからまた見に来よう。  レコーディングスタジオに戻るまでの道のり、遼くんがまだ聞いたこと無いメロディを口ずさんで、あたしがそれに合わせて歌詞を鼻歌程度に口ずさむ。まだラフすら出来上がっていないのに、MVを付けたくなるくらい良い曲になりそうだと思って止まなかった。           ——完——
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