返済と理解

1/2
前へ
/15ページ
次へ

返済と理解

 彼は頭を床に付け、涙を流している。 「私にも妻と娘が居る。  言い訳したって仕方ないとは思うが、ノルマと自分の人事評価の為だったんだ…。  自分の利益の為に客を騙すなんて良心が麻痺していたようだ…あぁ最低だ。  完全に私の負けだよ…すまなかった」  本当に私は何を言ったのだろうか? 「いえ、そんなに謝らないでください…」  それ以降彼が我が家の敷居をまたぐ事はなかった。  夕食を終えると、あらかじめ録音しておいた私と彼の会話をイヤホンで聞く。  確かにそこまで言ったら落ち込むだろうなとは思う。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加