46人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「あのな、真理亜は真理亜だろ。長くていいじゃん。俺は」
「変わるかもしれないじゃん」
来年からは別々だ。春馬だって変わってく。
私だけが変われない。私だけが変わらないのは嫌だった。
春馬の声を遮って吐き出した言葉と一緒に、あっという間に涙も転がってく。春馬がほんの少し困った顔をした。
「だから……真理亜はそのままでいいんだよ。何がダメなんだよ?」
「だって私、このままじゃ何も変わらないから。せめて見た目位変えたいよ……夢もないし、恋だって全然うまくいかないし……春馬とは違うもん」
「……だからって」
呆れたように春馬が両手を腰に当てた。
「泣くなよ」
春馬は、棚から石鹸の匂いのするタオルを取り出すと、私の膝にそっと置いた。私は手に取って涙と一緒に鼻水も拭いた。
いつまでも泣いていられそうだったけど、私は泣くのを止めて深呼吸した。今日切らないと、決心が揺らぎそうだったから。
最初のコメントを投稿しよう!