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「真理亜はさ、将来の夢ってないの?」
「どしたの?夢?……」
「何かあるだろ?一個くらい」
「うーん……私、何の特技も無いしな、平凡でいいから、誰かのお嫁さんかな」
暫く考えたけど、そんな夢と呼べるのかわからないモノしか浮かばなかった。
「変わんないな、真理亜は。中身もくせっ毛も」
クククッと春馬が笑って、春馬が手に持っている私の胸まである長いくせっ毛も揺れる。
「えー、春馬ヒドイ。私、くせっ毛も何の取り柄もない自分が嫌なのに……。で、ねぇ……春馬、あとどの位?」
浴衣だから半身横を向くと、帯が締まった気がして少し苦しい。
「大丈夫?ちょっと待って、もうすぐできるから」
私が頷くと、春馬が残りの髪の毛を一気にかき上げて、つむじに向かって手際よく纏めていく。
「夢かー、小さい頃はあったと思うんだけどな」
大三角形を上目遣いで眺めながら、独り言のように呟いた言葉に、春馬が後ろから言葉を重ねた。
「小さい頃書いただろ?忘れたのかよ?」
「え?……あ、幼稚園だっけ?」
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