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そういえば幼稚園の卒園文集で、私と春馬は将来の夢を書いた。
まだ子供だったから、なりたいモノになれるかなんてわからないのに、それが当たり前のようになれるって信じてた。
もうずっと忘れてしまっている、遠い昔のおままごとみたいな夢。
「あぁ、だめだ、全然思い出せないし」
どうせお花屋さんとかでしょーよ。平凡な私が思いつきことなんてさ。
「真理亜らしいな」
うなじにぬるい夏の風と春馬の吐息がかかって、なんだか、くすぐったい。
「ねぇ、春馬は?何て書いたか覚えてるの?」
「俺は、美容師」
「だよね、いいなぁ、春馬は得意なことがあって、夢があって、変わらない想いがあってさ。私みたいに宙ぶらりんじゃないや」
夜空にぶら下がってるだけに見える大三角形も、それを構成する星一つ一つに、ちゃんと意味があるから、あんな風に堂々と輝いて見えるのかもしれない。
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