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口を尖らせた私に春馬が唇を持ち上げた。
「真理亜は真理亜でいいじゃん」
「どゆこと?」
「変わらなくていいってこと」
「やだよ、変わりたい!小さくていいから、夢の一つだって見つけて、叶えてみたいよ」
「……焦んなくたって、叶うから」
「春馬?」
「前だけ向いてて」
振り返りそうになった私の頬を、春馬の大きな手が押し返すようにグイッと前を向かせた。
最後の仕上げに纏めた髪の毛をひっぱるようにして立体感をだしていく。
「髪切るなよ」
「え?」
「はい、できたぞ」
春馬がスマホで写メを取ると、立ち上がって私にスマホを見せた。
ちょうど左右の耳の対角線上にくせっ毛をひとつに纏めてあり、ところどころウェーブを描きながら、ふわりと上品に纏められている。
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