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「わぁ……お姫様みたい」
「自分で言うのかよ」
私が持ってきた青と紫の蝶々の飾りピンは、手でそっと触ると、纏められた髪の右後ろの方にセンス良く刺してある。
「綺麗じゃん」
春馬がニヤッと笑う。
「ありがとう」
何だか春馬がズルくみえて、よくわからない感情が先走って、拗ねたように言った私の頬を春馬が人差し指で突いた。
「専属美容師のおかげだからな」
幼なじみってよくわからない。
生まれた時からずっと一緒。家は真向かい同士。幼稚園も、小学校も中学校も市内に一つしかない公立高校も、勿論一緒。
当たり前みたいに春馬が居た。一緒に居すぎて、居心地はいいけど、ドキドキする恋愛関係というものには、私達は当てはまらない。
恋ってドキドキから始まって、目が合うだけで、話すだけでドキドキが止まらないモノだから。
もし、そんなドキドキを春馬に感じて、私がドキドキする理由が春馬だったら、『恋愛のススメ』なんて馬鹿げた指南書なんて、必要無いくらい簡単なんだろう。
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